日本の映画はあまり見ないのだがざっとあらすじを読んでみるとあまり深く考えずに見ることが出来そうだな、と思って見た映画。制作年が2012年なのですでに10年以上前に制作されたものだが出演者の「若さ」以外、それほど古さは感じさせない。
ざっくりあらすじを紹介
弱小家電メーカーの社員が社長命令で作った人型ロボット。が、目標にしていたロボット博覧会での発表間近に壊れてしまう。すでに修復不可能になったものの、会社にも説明ができないまま、せめて博覧会だけでもと外枠だけ作り直して中に人を入れてロボットらしく動かすことを思いき、着ぐるみショーのオーディションとして人を募集する。選ばれたのは家族からも仲間からも煙たがられていた隠居老人。その後、話はこの老人と家電社員3人とそれに加えてロボットのファンになる女子大生を中心に展開していく。映画の後半、ロボットには人が入っていることを突き止めた地元ケーブルテレビが暴露を試みるが、結局、それも「誰も傷つけずに」ハッピーエンドに終わる。

謎に面白い展開
はっきり言うとあり得ない展開がドンドン進んでいくのでばかばかしい話、と言われればそれまでだがなぜか引き込まれる。まず家電メーカー社員が迷いつつも嘘をつき通すという状況の反面、孤独な老人が自分の居場所を見つけてロボットになりきり、人気者になっていくことに喜びを感じ始めるという展開。この二つの状況がドンドン話を危うい方向に持っていくのでこれがまた謎に面白い。加えてロボットの存在を信じ、ファンになり支援する女子大生がさらに話をややこしくする。この映画はなかなか先の展開が読めない。
改めて言うが、話の筋としては「都合のいい話」が連続している。見ている方が白けてしまってもおかしくないがなぜかこの映画はそうならなかった。都合のいい話と言う意味では007シリーズやミッションインポッシブルだって「そりゃ無理でしょ」という展開が連続する。まあ、これとは質が違うのだがそれぞれの映画の世界観が出来上がってしまうと見ている方も別に違和感なく見ることができる。「ロボジー」にはそういう不思議と見ている側を納得させてしまう世界観が広がっている。

ミッキー・カーチスが好演
何よりロボットの中に入る鈴木重光ことミッキー・カーチスが好演している。頑固で扱い難く、加えて周囲から疎んじられる寂しい境遇。その一方でロボットの中身として人気者になってからは家電社員の3人に都合のいい条件を出し、様々なピンチもなんとか切り抜ける。かなり強かな役なのだがぴったりはまっていた。他の役者さんと比較してこの人だけは見た目がよぼよぼ爺さん過ぎていつの間にこんなに歳をとったのか、って思ってしまった。
主人公となるロボットがいかにも手作り風な見た目で、複雑なストーリーもなし。大人から子供まであまり深く考えずに楽しめる映画ではなかろうか。
