美術館巡り

ヒルマ・アフ・クリント展 アジア初の大回顧展でスピリチュアル抽象画の世界を堪能する

何をどう解釈すればいいのか悩むのが抽象画の世界。具体的な物質や風景を想定しながら見てもなかなか理解が難しく、解説を読みながら「ふぅーん、そうなんだ」と見るしかない。実はあまり得意とは言えない世界。今回はあえてそういう世界に踏み込んでみた。

場所は東京・地下鉄竹橋駅に近い「東京国立近代美術館」。皇居のすぐそば。ほとんど作家の情報など事前知識がないまま、展示会へ。平日にも関わらず、館内は団体客や外国人もいてなかなかの人出でした。

この展示会は6月15日まで
展示会のパンフレットから

ヒルマ・アフ・クリントってどんな人?

ヒルマ・アフ・クリントはスウェーデン出身の画家。王立アカデミーで学んだということなので元々は伝統的、古典的な画家だったのだろう。その後、神秘主義思想に傾倒して降霊術を通して抽象画を描くようになった人である。この「神秘主義」とか「降霊術」というのがこの人の特徴のよう。決して絵画の世界に詳しいとは言えないのではっきりとはわからないが、これを題材にする人はそう、いないのでは。

自身のスタジオでのポートレート

独特な画風

実際に見てみると、例えばピカソのようにある対象を崩したような描き方ではなく、ちょっと幾何学的な模様のようでもあるが規則的な変化があるわけでもない。70年代のサイケデリックな色合いや模様も感じさせてくれるがそれほど濃厚な色彩ではなく、どちらかと言うと丸みのある優しい感じがする。ほぼ同時期にピカソやジョルジュ・ブラックなど抽象的な絵画を描いていた人たちとは全く違う系統ということになるのだろう。

タイトル:「幼年期」から

展示されている多くは抽象的なもの。その一方でしっかりデッサンされたものもありやっぱりちゃんと絵の勉強をしてそのうえでこういった抽象画に傾倒していったのはわかる。

タイトル:「青年期」から
タイトル「成人期」から
タイトル:「老年期」から

全体的に言えるのは説明されて理解する、というよりも感じるための絵画という印象。そもそも抽象画というものがそういうものなのかもしれないが、見ている側も猛烈に「好き」も「嫌い」もあまり無いような気がする。

今後、再評価の可能性も

考えようによってはクリントが1900年代初頭ということ、女性と言うことを考えるとおそらくは評価されにくい時代。そんな中でも描き続けた先駆者としては貴重な存在とも言える。現在、どのぐらいの人たちがこの人の作品を評価しているのだろうか。もしかしたら今後、再評価されてより多くの熱烈な愛好家が出てくるかも。

幼年期~老年期は高さは3mほどの大作

ドキュメンタリー映画

2022年にはドキュメンタリー風な映画「見えるもの、その先にヒルマ・アフ・クリントの世界」も上映され、今回の展示会と同時に再上映されている模様。

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なんべぇ
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