シリーズ化されたミッションインポッシブルは1970年ごろにテレビドラマとして放送されていた邦題「スパイ大作戦」(英題Misson: Impossible)が元になっている。このドラマは大好きな番組だったなぁ。今どきのドラマや映画と違って派手な撃ち合い、殺し合いもなく(全然ないわけではないけど)静かに目的を遂行する、という感じで毎回ワクワクしながら見ていた。テレビドラマでスパイを題材にしたものがあまりなかった時代だったような気もするので毎回楽しみだった。
50年の歳月を経て映画で再現
で、その後、一度シリーズが終了して「新・スパイ大作戦」を経て映画「ミッション:インポッシブル」につながるわけだが、この映画が発表されると聞いて、おそらく昔のテレビドラマを見ていた人は期待半分、不安半分といったどころだったのではないかと思う。何しろ最初のテレビドラマから50年の歳月が流れている。ドラマ時代の最後から数えても25年以上前。そんな古いドラマをどこまで映画で再現できるの? と。さらに最初の映画「ミッション:…」ではテレビドラマで中心人物だった「フェスブス君」がピーター・グレイブスからジョン・ヴォイトに変更されていたことも不安材料の一つ。ただ映画が封切されるとそんな不安は一掃された。何よりも主人公のイーサン・ハント役のトム・クルーズがはまり役だったし、テレビドラマでは到底、不可能な撮影規模だったし、ストーリーやアイディアも豊富だった。

シリーズ化から8作目
その後、この映画はシリーズ化して今回の「ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング」で8作目。映画のタイトル「ファイナル・レコニング」は最後の審判と訳される。内容的にも過去の経緯を受けて今回に至る、みたいなシーンがあちこちに盛り込まれ、このシリーズはこれで最後ですよ感が漂う。今回のファイナル・レコニング、面白いか面白くないかと言われれば面白いと思う。その一方でなんとなくマンネリ化した展開もある。そりゃ8作も作れば新味がなくなり、似通ったところが出てきても仕方がないかな…。なによりもだんだん主人公のイーサン・ハントが007のジェームズ・ボンドが似てきた、というところも気になる。映画自体は悪くないし、見ている側も十分楽しめるのだが、作り手としてはネタ切れというか、新味を出しにくくなってきているのでは。

ただちょっと上映時間が長い。通常の映画は2時間ぐらい。今回は2時間50分もあった。特に中盤に中だるみ、というかこれまでの経緯説明のシーンがあってそれがあまりにも長い。さすがにあのシーンはなんだか眠くなってしまった。後半はテンポよく展開していて、なんといっても飛行機での格闘シーンは見もの。あのシーンはいつもながらスタントなしでトム・クルーズ自ら演じているとか。本当にいずれ事故が起こるのじゃないかと思うほど。
先にも書いたように、今回はいかにも「最終回」な雰囲気なのだが作り手は今のところこの件については何もメッセージを出していない。もしかしたら違ったキャスティングでやるのかもしれないが、それはそれでイメージが出来上がっているこの映画を引き継いでいくのは難しそう。この映画のファンを永遠に逃さないためにもここでスッパリやめて次の映画にチャレンジしたほうがいいように思う。
